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《 案内 》
第8回部落問題全国交流会「人間と差別をめぐって」開催要項
「差別は人間存在の根源にかかわる」とされながら、状況は、いよいよ不透明の度を増しつつあるようにみえます。なによりも紋切り型の物言いになれて、わが身の内外に冴えない雰囲気が漂い、しなやかな発想ができなくなっていることに気づかぬわたし。そんな自分を振り返り、差別・被差別関係を新たな視点でとらえかえす場として、交流会はもたれてきました。 今年も「自分以外の何者をも代表しない」ことを前提に、自由で闊達な議論ができたらと思っています。みなさんの参加を心からお待ちしております。
●各地で発行されたビラ・パンフ・新聞などを多数ご持参ください。また第1日目の夜には恒例の懇親会を予定しています。各地の名産・特産の持ち込み大歓迎ですので、よろしく。 ○分科会の紹介 第1分科会:差別と自立 ☆東谷修一(兵庫)
☆住田一郎(大阪)
第2分科会:差別・ことば・糾弾 ☆高木奈保子(愛知)
第3分科会:啓発をめぐる人間模様 ☆前川む一(京都)
☆山本尚友(京都)
☆柴田則愛(三重)
《 採録 》
い ま 思 う こ と
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調 紀(真宗大谷派同和推進本部長)
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最近あらためて『同和はこわい考』を読んだ。その中で藤田敬一氏は、次のように語っている。
同和推進本部長に任命されて、まもなく半年になろうとする。その間、二度にわたる糾弾をとおして、同じような言葉を聞かされた思いがしている。 被差別大衆が大谷派に問うていることは、単なる制度の改廃や宗政にかかわる問題だけではない。 本質的には教学・信心が問われているのである。それを個人にもどしていうならば、「煩悩具足の凡夫であります」と、日常的に語っている私に、「それは教えが生活体験の説明原理になっているだけと違いますか」、「本願念仏の教えに生きているならば、あなたの人間観、世界観を聞かせてください」と問うているのであります。 長らく休んでおりました『同和推進フォーラム』を、お届けします。あなたの声をお寄せください。
コメント.
真宗大谷派同和推進本部『同和推進フォーラム』No.6(1989.9.10)から全文を採録せていただきました。ところで同誌No.11(1991.1.10) 所収の小森龍邦さん(部落解放同盟中央本部書記長)の「大谷派へのメッセージ」によると、調さんのこの文章は、『同和はこわい考』と同じ論法、つまり「われわれの闘争方針である糾弾にケチをつける論法」であるらしく、現在、調さんとある読者との間で論議が展開されているという。小森さんは「本誌を通じて、どのような統一見解に到達するものか、『言論の自由』の形式は一応尊重し、採用すべきものであろうから、成り行きを注目しているところである」とも述べておられる。しかし調さんの文章は、どう読んでも自己の成育史・生活体験を絶対化することにたいする自省の言であって、「糾弾闘争にケチをつける」ものとは、わたしには受けとれない。『同和はこわい考』からの引用がいけないというのなら、話の筋としてはわかりやすい。もっとも、わかりやすいからといってすむ問題ではありませんけれど。
それにしても「『言論の自由』の形式は一応尊重し、採用すべきものであろう」というのには、恐れ入りました。小森さんにとって言論の自由とは、形式的に尊重して祭り上げておけばいい代物なんでしょうか。もしそうだとすると、部落解放運動の根底にこのような発想が横たわっていることに慄然とする人がいても不思議ではありますまい。ソ連におけるペレストロイカを持ち出すまでもなく、自由は現代理解のキーワードの一つです。人間解放をめざしたはずの社会主義が、かえって人間を抑圧し、疎外したという現実の背後に自由の問題が伏在していることを凝視したいと、わたしは思うのです。それはわたしたちの身近な運動や組織のありように即つながっています。自由を形式の問題としてだけ見なし、かつ形式を軽んじていると、いずれ自由に仕返しされるのは必定です。ところで先日、J.S.ミルの『自由論』をあらためて読んだといったら友人に笑われてしまいました。いまさらミルでもなかろうというわけですが、ほんまにそうでしょうかね。
《 あとがき 》
★全国交流会で講演してくださる山下力さんをたずねて、久し振りに奈良へ出かけ、帰りに秋篠寺まで足を延ばしてきました。伎芸天が若い頃から好きなのです。秋篠が宮号にされたので観光客が押しかけているかなと心配でしたが、境内は案外静謐でよろしゅうござんした ★交流会まであと一月。今年は分科会が一つ減りましたが、濃密な議論をしたいものです。ぜひ参加してくださいますように ★5月4日から5月30日まで、三重(4)、東京(2)、島根、大阪(2)、岐阜、愛知、京都の12人の方から計38,248円の切手、カンパをいただきました。ほんとにありがとうございます ★本『通信』の連絡先は〒501-11 岐阜市西改田字川向 藤田敬一です。 |